設立趣意書
はじめに
私たちは、インターネット広告における透明性と健全性の向上を目指し、広告主とパブリッシャーが共に支えあいながら、自らの実践を深めていくための一般社団法人として、Advertisers and Publishers Transparency Initiative(以下、APTI)を立ち上げます。
メンバーの通称は「schain-er(エスチェイナー)」。これは、OpenRTBのSupplyChain Object(schain)に着想を得た、広告取引の正当性と信頼性を支える実践者たちを表す呼称です。
設立の背景
広告の自動取引が主流となる中、ads.txt、sellers.json、SupplyChain Object(schain)などの技術的な取り組みが進んでいます。
一方で、現場レベルでは以下のような課題が残されています:
- ads.txtの記述ミスや放置
- sellers.jsonとの不整合や古い情報のままの登録
- パブリッシャーと広告主の間の情報ギャップ
- 広告主にとって適切な出稿先や信頼できる取引先の判断が難しい構造
このような問題を解決するには、広告主とパブリッシャー双方の実践と対話が不可欠です。
私たちの目的
APTIは、広告主とパブリッシャーが対等な立場で、透明な広告サプライチェーンの構築に取り組むことを支援するためのプラットフォームです。また、技術プロバイダーや代理店、第三者機関なども支援的立場で参画することを歓迎します。
活動を通じて、次の3つの柱を中心に実践を進めます。
活動の3本柱
1. 情報共有と可視化
- ads.txt / sellers.json / schain の運用ノウハウの共有
- 認定済みバイヤーや広告主ドメイン管理のベストプラクティス紹介
- 国内外の制度・規格の動向調査と翻訳・要約
- 分析レポートや可視化ツールの提供
2. 相互支援と実践の場づくり
- 自社の課題を持ち寄るワークショップやハンズオン
- 広告主とパブリッシャーとのコミュニケーションが円滑に進むツールの整備・提供
- パブリッシャーと広告主間のクロスレビュー・相互チェック
- 小規模なPoCや透明性改善の実証実験
- 外部監査や検証プロセス導入のためのサポート
3. つながりと信頼の醸成
- 現場担当者同士の対話と経験共有の場の設置
- 中立的立場からの知見発信やルール整備の支援
- 海外団体や認証機関との連携
- 課題提起と改善提案の共同声明の発信
活動のスタンス
- 一般社団法人として、営利を目的とせず活動します
- ただし、持続可能な運営のために、必要に応じて適正な対価や費用分担を行います
- 発起人グループは、参加者が安心して交流・実践できる場を整え、支援します
参加の意義
- 透明性ある広告エコシステムの共創者としての立場を築けます
- 自社単独では難しい改善を、仲間と支えあいながら実践できます
- 社内外における信頼性・説明責任を強化できます
- 最新の制度・技術・ベストプラクティスを実務レベルでキャッチアップできます
最後に
広告サプライチェーンの健全性と透明性は、一部のプレイヤーだけでは実現できません。
広告主とパブリッシャーがともに支えあい、信頼のネットワークを築いていくことが不可欠です。APTIは、その第一歩として、分野・立場を越えた参加者の協働を歓迎します。
私たちと共に、より良い広告の未来をつくっていきませんか。
発起人一覧
- 杉原 剛 (Go Sugihara)
- 林 博史 (Hiroshi Hayashi)
- 池田 寛 (Hiroshi Ikeda)
- 菊池 満長 (Mitsunaga Kikuchi)
- 宮一 良彦 (Yoshihiko Miyaichi)